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Panel Discussion 02パネルディスカッション第二部:世界目線に学ぶ

「何よりも大事なことが共に笑うこと」

パネルディスカッション第二部イメージ

社会には「違い」しかない

にしゃんた:来日して30年ほど経ちました。暮らしを豊かにする学問として立命館大学で経済を学び、今、大学教授に就いています。しかし、本当に暮らしを豊かにするとなれば、経済ではなく社会が変化していくことが大切だと思い、社会学者と名乗らせていただいています。
もともと日本の「違い」を排除、排斥しようとする風潮に疑問を抱いていました。正直、誰もが「違い」という言葉を耳にした時、本能的に悪いイメージを連想すると思います。しかし、実は社会には違いしかありません。隣の人の顔や形は違う。時代ですら常に変化しています。私たちは違いしかない世の中で生かされているにもかかわらず、違うという言葉を聞いた瞬間、本能的に怖いとか嫌いとか、敬遠してしまいます。これは正しくないですね。

だから、まず社会には違いしかないという認識を持つことを強調したいと思います。その上で、違いを貪欲に自分の中に取り込み、新しい自分をこしらえていくことが、これから「違い」と正しく付き合っていく方法だと考えています。

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もう一つの疑問が、共に生きると書く「共生」という言葉にあります。私も好きな言葉ですが、これも実は疑っています。本来、共生という言葉は違いを互いに受け入れて向き合うことです。しかし、社会はそうはなっていません。現在、世の中にある共生は、「違い」を排斥、排除、無視、シカト、同化、棲み分けした上での共生でしかありません。それはもはや共生ではありません。だから、もっと細やかに共に生きることを追求しないといけません。
例えば、共に楽しむ「共楽」や、共に学ぶ「共学」、あるいは「共育」。そして、何よりも大事なことは共に笑うことだと思っています。共に笑うと書いて、「ともえ」と読みます。ぜひ、長野から共に笑う世の中のロールモデルを作っていってください。期待しています。ありがとうございました。

谷口:今まで我々は、ネガティブに捉えた「違い」ばかりを指摘してきました。しかし、違いをポジティブにみると、違うからこそ磨き合い、お互いのためになることを模索します。個性は自らの内側にあり、自分の興味関心を磨けば、我々自身もまた個性が磨かれ、輝きを取り戻すのでしょう。ここで、知事に一言ご感想をいただきます。

「人生を楽しむことができる」社会へ

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阿部知事:まず県知事の立場から、大和田さんからご提案いただいた「SDGs」については、これを意識した、世界に通用するような総合5か年計画を作ろうと考えています。
白河さんからの働き方と暮らし方の両方を充実させるというご指摘。実は長野県の地方創生の総合戦略の中で「人生を楽しむことができる多様な働き方・暮らし方の創造」を基本方針の第一番目に書いています。「人生を楽しむことができる働き方・暮らし方」を長野県から発信していきたいと思います。
また、エリカさんとにしゃんたさんから、ポジティブな生き方、それから「共笑(ともえ)」というお話がありました。通常、行政の基本計画には盛り込まないフレーズではありますが、私はあえて「人生を楽しむ働き方・暮らし方」、そして「生き方」をどうしていけばよいかを一緒に考えていければと感じました。
鬼丸さんの子ども兵の話や、にしゃんたさんの話からも、すべてを受け入れて世界の人たちと付き合っていくことがいかに大切かを改めて気づかされました。

谷口:最小単位である個人、その差を互いに素敵なこととして認め合う。文化とは違いが磨かれた個性です。その個性を突き抜けたところに芸術があります。そういった感性を高め、「私は面白い」と思えるかどうか、それが共感を生み、輪となって広がっていくのだと思います。そういう価値観を持つ長野は、まだまだ大きな可能性があると思います。最後にご来場の皆さんを勇気づけるコメントをいただけますか。