移住者体験談
山田 顕義さん(定住アドバイザー)
移住先 | 東御市 |
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移住年月 | 2006年 |
家族構成 | 奥様とふたり |
職業 | 地元NPO法人 |
悪循環からの決別
仕事の関係でやむを得ず都会で暮らしていましたが、もともと出身が新潟なので都会より田舎が好きでした。
就職した以降も、なぜ理不尽にも住む場所が仕事に振り回されるのか考え続けてきました。
回線と交通アクセスがあれば、日本中どこにいても働けるはずと思ってIT関係の仕事をしていたにも関わらずです。
40代半ばの現役でセミリタイヤを決断し、その悪循環から決別しようと思いました。
冬のおひさまが出ているなんて!
移住することを考えると、北海道や九州はちょっと遠すぎる。そして、出身地である新潟に近いのが長野でした。仕事の取引先が上田市にありよく訪れていて、この地域の雨や雪が少なく、湿度が低い気候が気に入っていました。
東京だと、週末どこかに出かけるときに必ず天気予報をチェックしなきゃいけませんよね。
でもこちらだと、調べなくてもたいてい晴れているんですよ。天気の良さは他と比べ物になりません。冬におひさまが出ているなんて、新潟県出身の私には考えられないことです。
家探しのために毎週末、キャンピングカーでこちらにきて、上田市を中心に物件を探していました。初めは借家を探していたんですけれど、ワンちゃんがいるなら中古の売買の物件はどうですか?と不動産屋さんに言われていました。
なかなか見つからなかったのですが、不動産屋さんが「こんなのもありますけど、山奥だしどうですかね…?」なんて言いながら、奥のほうから出してきたのが、今住んでいる物件でした。景色がすごく良かったこともあり、東御市への移住を決めました。
実はそれまでは、東御市の名前さえ知りませんでした。
現在は、市内のNPO法人につとめコンサートの企画などを行っています。
人生のステージに応じて、生活する場所を選ぶ
こちらでの生活は時間がゆっくりしていて、とても贅沢だなあと感じています。都会生活からしたら、効率悪いかもしれませんが。
私たちが住んでいる地区は、湯の丸スキー場へ上がっていく途中にある地区です。雪の量は予想していましたが、スキー場へ続く道はちゃんと除雪車が来ますし、区で除雪車をもっているので、区内の道路の除雪は問題ありません。
車で10分でおりていけば、スーパーもあります。
インターネットが最大の心配事でしたが、住んで2年位したら光ファイバーが開通しました。
アマゾンで注文したものだって、翌日に届きますので不便は感じていません。
ただ、人生の最後はここにしようか?っていうときはまたそのとき考えなきゃいけないかな、と思ってはいます。車に乗れなくなったらどうしよう?とか。
ここは山奥なので、救急車だってすぐには来てもらえないかもしれません。ただ、都会だって渋滞にはまれば救急車も身動き取れないとは思いますけれど。
人生のステージに応じて、生活する場所を選んでいければいいのかなと思います。50代~70代の方が住むには、とうみはとてもいい場所だと思います。
だんだんと地域の様子が分かるようになってきた
こちらに来た当初は、サラリーマンとして月曜日から金曜日まで働きに出ていたので、あまり声をかけられることはありませんでした。
3年くらいたって、地区に昔から住んでいる同じ年代の人から消防団に入らない?と声をかけられたのがきっかけで、消防団に入りました。その方からすると、よそから来た方の声もほしいというところだったようです。そこから地域の様子が分かるようになりました。
もともと別荘地だったこともあり、よそから来た人でもなじみやすい地域だったこともあります。
あとは、犬を飼っていたので犬の散歩のときに、積極的にこちらから声をかけるようにしました。そうすると、向こうのほうからいろんな地域の情報をくれるようになりました。
ロスを覚悟するのが移住
現在は移住してきてくれるひとが増えるといいなと思い、定住アドバイザーとしても活動しています。
コミュニティが長く続くためには、やはり人を増やすことが大事だと思います。目に見えて人が減ってしまうと、不便なことも増えるのではないでしょうか。
若い方々に来てもらうためには、働く場所が不可欠です。今の状態で働き口をつくるのは難しいと思いますが、人が増えれば働くチャンスが増えると考えています。
定住アドバイザー制度というのは、とても自然なシステムなんです。教わった人がまた次の誰かに教える。
今は受身でいろいろとやっています。移住成功の秘訣はお答えできないかもしれませんが、移住にまつわる障壁をどのように乗り越えたかはお答えできるのではないかと思い、活動しています。
移住するときに、すべてをロスせずに移住することはできません。ロスを覚悟するのが移住です。
日本各地を旅していると、ここ良いな~、住んでみたいな~って思える場所がたくさんあると思うんですけれど、人生っていうのは、すぐにレールチェンジできません。
そのなかで、自分の人生を自分で選ぶことができるというのは、最高の贅沢だと私は思います。