信州・南佐久・さくほ さくほの家の物語
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 ドアを開けると、そこには土間が!思わず「うわぁ」と声が出てしまいました。土間に続くのは吹き抜けの広いリビング。掃出しの先には気持ちよさそうな縁側もあります。伺ったのは真冬の寒い時期ですが、家の中には日差しがたっぷり入って暖かく、薪ストーブの出番は朝と夜だけとのこと。 新津裕二さんは伝統工法を大事にする工務店の大工さん。「この家は『渡りあご工法』といって、梁と桁が上下で重なり合うことにより桁梁が途切れずに一本で通り、継ぎ目のない頑丈な構造ができる伝統工法で建てました。金属を使っていないので錆や結露による劣化の心配はなく、漆喰の塗り壁や瓦屋根は長もちします。外壁には腰板を張って部分補修もできるので、大掛かりなメンテナンスをしなくても百年住み継げる家です」と言います。こういうタイプの家は寒いのでは と思いきや、今は断熱性・気密性を高くすることができ、サッシも熱伝導を抑える構造になるなど、暖かさや快適さを保つことができるのだそうです。木材は県産材や国産材を使うことで、地産地消になり、木のよさを感じてもらえるような家造りをしたいとのこと。「自分が建築に携われるのは生涯で百棟くらい。どの一棟も次世代に引き継ぎたいと思えるものを建てていけたらと思っています」と新津さん。静かに語りながらも、熱い思いがあふれていました。伝統工法を生かした現代的な家2015年完成[家族]夫婦と子ども2人(3歳・1歳)家のデータ100年住み継げる家さくほ4つの家の物語靴のまま入れることが新鮮に感じられる土間。田舎暮らしでは大活躍まちがいなし!土間を挟んで和室がひと間。客室としてもプライバシーが保ててよい。家の南面には深いひさしと風の気持ちよさそうな縁側。家族の団らんはもちろん、人が訪ねてきたときにちょっと腰かけて話せるのもいい。縁側には無垢の板、腰壁には焼杉の板が使われていて、どちらも部分補修ができる。森林組合にもネットワークを持ち、地元や周辺地域の山から伐り出された木を貯蔵しておいて家を建てることも。

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