阿智家族 暮らす、生きる。
11/16

浪合に移住して20年余り。Iターンという言葉がまだない頃からの大先輩。店内ではできたてのパンをその場で食べることもできる。浪合の空気と水が練り込まれたパンは、噛めば噛むほどにあたたかく包み込むような味わいだ。移住当時、ご主人の健次さんはパンとは無縁の研究職!智子さんは子どもの頃からパンを焼くことが好きで、パン屋さんで働いていたこともあった。「こうなるために働いていたのかも…と思うと何か運命的なものを感じます」 愛知県出身の佐久間健次さん智子さん夫妻が営む治部坂高原・峠のパン屋『キッチンストーブ』。自家製天然酵母パンを求めに、近隣の飯田市はもちろん愛知、岐阜、静岡などから車を駆って来る人が後をたたない。 「平成4年ごろ、阿智村に畑を借りて月に1回はこちらに来るようになりました。畑作をして、気に入ったパン屋さんに立ち寄って帰るのが楽しみだったのですが、事情があってパン屋さんが閉店。誰かいい人はいないかと探していたんです。もともと自然の中で暮らせたらいいな…と思っていましたからパン屋をしながらなんとかなるのでは、と移住を決めました」 大胆な決断だったとはいえ、ここなら大丈夫という直感があったのだそう。 「3人の子どもたちはみな、こちらに来てから生まれました。それまでとは環境も習慣も違いますから、最初はとにかく地元の方のやり方を見習おうと心がけていました。子どもたちが小中学校に通ううちに、すっかり溶け込んでしまった感じで…」そう微笑んだ。このパンには、浪合の空気と水がしっかり練り込まれているんです。佐久間 智子さん11ACHI KAZOKU

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です